石川博品と比嘉智康。10年間好きだった二人のくっきりしすぎた個人的な明暗

石川博品比嘉智康。二人の共通点はゼロ年代にデビューしたライトノベル作家。けっこう数年に一度ぽつぽつと新作を刊行続ける。デビューから今に至るまで根強いファンがいる。

 

コレくらいなもん気がします。あと個人的な話なんですけど、私が10年間くらい好きなライトノベル作家であること。このあくまで個人的な事が自分にとっては大切なものである。それこそ心の宝石箱だい!!と10年以上前の彦摩呂が言いそうで言わなそうな。そんな、好きなライトノベル作家である。

 

まぁそんなスローペースで刊行してる両作者がこの2カ月で新作を出した。

 

 

 

私はライトノベルが好きだった。過去形なので今はあまり好きでもないし。読んでもないです。

しかしやはり10年間好きな作家。それこそ個人的には数少ない作家買いするレベルに好きな作家。がこんな同じタイミングに出すもんだから。かなり遠のいてたライトノベルというものを久しぶりに読んでみた。

 

んであくまで個人的にと言う枕をつけた上で尚、この好きだった二人の作者の新作がくっきりと。マジでハッキリと明暗が別れたものだから。まぁHAPPYな気持ちとUNHAPPYな気持ちが、それこそブラックコーヒーとミルクがかき混ぜずにぐるぐると回転してるみたいになってたのでブログに記録を残しておこうかなと思い、今書いております。

 

まず石川博品の冬にそむくなんすけど。自分はおもろいと思いました。コロナをかなりダイレクトにモチーフ?設定?にしてる作品でした。そのちょっとストレートなボール投げすぎじゃないというコロナ禍で感じてた諦観の物語と冬というこれまたしんどい、特に雪のあまり降らない地域の人達は一種のイベント感あるけれど、それが続く終わらないとなお、しんどいもの。そんな安っぽい言葉だけどハッキリとした絶望。それでも何かをしたいという希望を持つモノが若者だよね。世界がおかしくなるなら自分もおかしくなってしまうわってなってるのに前を歩く主人公の物語は好きでした。やはり雰囲気作りある文章を書くのが上手いよね、石川博品と好感が持てました。

 

石川博品は、最近は時代性と合わせるのも上手いし。なにより氏の筆力が色々違う面白さ、違う魅力ある物語毎によって雰囲気作るのがべらぼうに上手いなと過去作を思い出して、加えて今作を読んで思いました。

 

 

なんつーか変わらず信頼感ある筆致に新しい別の物語を読ませてくれる。そんな石川博品の魅力が今回も楽しませてくれました。10年間好きで良かった。


んで次は比嘉智康

正直、途中まで読んでる昨日まではかなり悲しかったし辛かった。読み終わった今は、まぁ。。。良いところあるっちゃあるけど。なんつーかしょんぼりさせてくれて。もう続きは読まなくてもいーかなと思える内容だった。

 

読んでて強く思ったのはキメラじゃんて気持ちだった。過去作の色々な同作者の作品の面白いところをつぎはぎしたキメラじゃんと。そう思ってしまった。そこに変わらない事の喜びを自分は感じずに、むしろ悲しみを感じてしまった。

 

 

 

今作はそもそもどうやらたまらんのリベンジらしいのだが。それは良いとして何というか過去作を感じさせるエッセンスが所々に感じた。キミは一人じゃないじゃんや角川文庫の一般文芸の死とか別れのせつなさ。やけに肩パンをするキュートなヒロインはKAFKA使いを思い出した。何というか比嘉智康の過去作のせつなさとか青春を継ぎ接ぎにして出てきたのが今作。そんな感じがしてしまい、そこに辛さを覚える。

と言うのも比嘉智康はそれだけじゃない作者だと思ってたから。けど、いつからはソレが一番の強みだと思って固執してるんじゃないか?と言う妄想を感じさせられた。あくまで妄想です。

 

氏は10年前だったらストーカーやサイコパスなら比嘉智康みたいなことをちらほら言われてるのを目にしてきたし。けどそのときもストーカーキャラが連続したりとか。何か強みを推す人なのかな?上手く言葉にはできないけど。今作を読んで、自分の好きな比嘉智康であったのかもしれないけれど。今の自分は読みたくないなという。すげえわがままな気持ちになりました。

 

それは作者の強みである軽やかな小気味よい会話劇と地の文でも思った。そこが好きだった。一つ前の作品の角川文庫では一般文芸からの刊行だからなのかそこが抑え気味だったが、今回の新作ではそこが序盤ノリノリだった。最初は楽しかったし嬉しかった。けど中盤に差し掛かると、それがどんどんしんどいと感じた。それはかなり自分側の問題な気もする。だから逆にもうこの作者はいいかな?とも思った。

 

後、ぶっちゃけネタバレをみてしまった後に読んだので、実際自分はそこまでマイナスな感情を持たなかったが。ラストの展開は読者を振るい落としてる展開と言われても仕方ないと思う。何がバランスだ?手軽な肯定の言葉を使いやがって。そのバランスてどんなバランスだ?分かったつもりで使うな。ふざけるな。

 

少なくとも10年は好きだったので感謝はありつつも。自分はこの作者の作品はもう卒業しても良いかなと思った。今までありがとうございました。混じりっけのない感謝です。

 

石川博品比嘉智康。もしかして並べて感想を書くのはいけない。あるいは書く意味が分からないのかもしれない。けど自分の中では両者とも10年好きな作者であり、その新作がパッキリと明暗が別れたので自分のログとして書かせてもらいます。

 

ライトノベルのお話でした。失礼します。